こんにちは。小林大伸堂5代目印鑑彫刻士の小林稔明です。
印鑑を彫刻するにあたって、良い印鑑をつくれるかどうかを左右することがいくつかあります。その一つが彫刻刀を研ぐという作業です。彫刻刀がしっかりと研げていないと印鑑を彫刻することができません。これはシェフが料理に使う包丁を研ぐのと同じです。当たり前と言えば当たり前なのですが、実はこの作業が一番難しいように思います。この作業は修業し始めのころから今でもかなりの頻度で続けているのですが、うまく研げるときとうまく研げないときがあります。彫刻刀をうまく研げた時は調子が良くて、うまく研げない日が続くとスランプ!個人的にこのような決め事があります。
彫刻刀を研ぐにあたって必要なのが砥石(といし)です。1本の彫刻刀を研ぐのに3種類の砥石を使っています。まずは粗めの砥石でカタチを整えて仕上げ用砥石を使って彫刻刀をピカピカに磨きます。動画で使っているのは最後に使う仕上げ用の砥石です。この砥石は僕の師匠である北川氏から頂いたものです。氏いわく、「同じようにみえて砥石にもひとつひとつ個性がある。だから自分の個性にあった砥石を相棒にしてずっと使い続けなさい」とのことです。職人の命ともいえる彫刻刀と砥石、大切に使わせて頂きます。