会社の商号(名前)、事業目的、本店住所を決定する
こんにちは。5代目の小林稔明です。ここでは、会社を設立する手続きの上で、必ず最初に決めなければならない事項について解説していきます。
①会社の商号(名前)の決定
②事業目的(仕事の内容)の決定
③会社の本店(住所)の決定
以上の3つがこれに該当します。
これらの事項は、これから会社を運営していく上で非常に重要な部分でもありますので、慎重に決めていきましょう。なお、株式会社では、設立の手続きを進めていく担当が定められており、これを発起人と呼びます。発起人は会社の商号や目的の決定、役員の選任、出資金の払込みなど手続きを進めていくことになります。
◆ ①会社の商号(名前)の決定
会社の商号とは会社の名前のことです。会社の商号は会社の顔であり、これから会社を運営していく上でも非常に重要な部分になります。会社の商号は一度決めてしまうと、変更するには、定款の変更、登記の内容の変更および各官庁へ変更の届出などの手続きが必要になりますので慎重に決めましょう。なお、会社の商号は原則として自由に決めることができますが、いくつかのルールがあります。
ルール
①会社の商号の中に、「株式会社」の文字を使用する
株式会社という文字を使用すれば、株式会社○○または○○株式会社でもかまいません。
なお、株式○○会社は認められません。
②会社の商号に記号などを使用することはできません
「」、()、☆、などの記号は使用できません。
※ただし、「・(中黒)」は使用できます。
③社会的によく認知されている名称を用いることはできません
例えば、三井、三菱、住友などの社会的に認知されている名称を用いることはできません。また、ブルガリやティファニーなどの海外の名称やブランド名も使用することはできません
④銀行や信託、証券などの文字の使用はできません。
銀行業や証券業などを営む場合以外は、これらの文字を使用することはできません。
◆ ②事業目的(仕事の内容)の決定
会社が営む仕事の内容のことを、会社の目的といいます。また、会社は定款で決めた事業目的の範囲内でしか営業活動を行なうことができませんので、将来行なう可能性がある事業の内容は設立の時点で盛り込んでおきましょう。 会社の目的は一度決めてしまうと、変更するには定款の変更、登記の内容の変更などの手続きが必要になりますので慎重に決めましょう。 以下の内容が、目的を決める場合のルールになります。
ルール
①目的や内容に違法性がないこと
法律に違反するような内容は、会社の目的とすることができません。
②目的の内容が明確であること
目的に使用されている語句や目的全体の意味を、一般の人が理解できなければなりません。 また、事業目的に関しては、内容を同じくする会社が他にもないか調査を行わなければなりません。
以前は、旧商法にて「類似商号の規制」が決められており、同一の市町村内、同一の商号、同一の目的での登記は行えませんでした。現在ではこの規制が廃止され、同一の市町村内、同一の商号、同一の目的でも登記できるようになりました。
ただし、同一の本店所在地に、同一の商号では登記することはできません。
したがって、法務局の商号調査簿や検索エンジンを利用して、同一の商号はないか、類似商号と判断されるような商号はないか、調べる必要があります。また、目的の調査は、目的の内容が適法かどうか(その内容で登記できるかどうか)迷った場合に必要になります。判断に迷った場合には、直接窓口で相談しましょう。また相談の際は相談票に記入し相談日と相談番号を控えておきましょう。
◆ ③会社の本店(住所)の決定
会社は本店の所在地(住所)を決めなければなりません。設立の登記を申請する際には、本店の所在地は具体的な場所を記載しなければなりませんが、現時点では類似商号の調査を行う法務局(登記所)が特定できればかまわないので、最小行政区画である市町村(東京23区や政令指定都市の場合は区)まで決めておけば足りることになります。