おはようございます。
小林大伸堂5代目印章彫刻士の小林稔明です。
僕が印鑑職人を生きるということ、
それは120年続いてきた印章店の歴史を受け継ぐことでもあります。
生まれながらにしての宿命であり、
ぼくが生きて行く上で最も大切でかけがえない命がけの仕事。
それくらいの決意で5代目印鑑彫刻士を受け継いでいきます。
思えば幼少時代から僕の遊び場は父が印鑑を彫っていたお店でした。
印鑑やゴム印であまった木材を利用して工作をして遊んでいた小学生時代。
父が印鑑を彫刻する傍らで受験勉強をしていた中学時代。
小遣い稼ぎにとゴム印の台を張り合わせていた高校時代。
歴史を受け継ぐことを意識しはじめた大学時代。
どの時代を切り取っても、
僕のノートには印鑑を彫る父の姿があり、
それを片隅で意識しながら職人道を目指してきた僕がいました。
そして今、5代目印鑑彫刻士としての修行を積み、
本格的に印鑑職人を生きる僕がいます。
あの頃描いていた夢の中には、
叶わずに消えてしまった夢もたくさんございます。
でも、今の職人としての僕は、
間違いなくあの日の僕が描いた夢のひとかけらの延長線上にたっています。
遠回りしてたどり着いた僕の夢がいつまでも色あせぬよう、
僕をここに運んでくれたすべての物事、すべての方達に感謝しながら、
今日もこの場所で印鑑職人としての夢を描き続けていきます。
僕が、印鑑職人を生きるということ。
それは、生まれながらにして与えられた宿命と描いた夢の放物線。
たったひとりでもいい、印鑑を通して誰かを本気で感動させたい。
その日がくるまで僕は、コツコツと印鑑を彫り続けていきます。