こんにちは。小林大伸堂5代目印鑑彫刻士の小林稔明です。
最近、千と千尋の神隠しの映画を見る機会がありました。この映画をはじめて見たのは中学生の頃だったと思います。今、改めて見てもやっぱりいい映画だなと思いました。ジブリ独特の世界観といいキャラクターといい、考えさせられることが多かったです。
その中でも特に印象的だったのが、ハクがユバーバの命令でゼニーバから盗んだ大切な「魔女の契約印」を、千が返しにいくシーンです。
写真:千がゼニーバに「魔女の契約印」を返すシーン
職業病でしょうか?印鑑がでてくるシーンが気になってしまいました笑。
とはいえ、魔女の世界でも印鑑が重要だということが明確にわかるシーンでもありました。もしかすると、印鑑の重要性が薄れつつある現代社会に向けて宮崎駿監督が発信したメッセージなのかもしれませんね。だとすれば、千と千尋の神隠しのメインテーマでもある「名前」にも直結するような気がします。
ゼニーバとの別れのシーンで、こんなやりとりがありました。
千:「おばあちゃんあのね、私の本当の名前は、千尋って言うんです。」
ゼニーバ:「千尋・・・いい名前だね、自分の名前を大事にね。」
やはりこの映画では「名前」がキーポイントになっているようです。名前は誰もがもっているもの。でも、本当の名前はひとりにひとつしかないもの。その大切な名前を大切にして生きてほしい。一人しかいない自分という人間を精一杯生きてほしい。私個人の解釈ではありますが、この映画にはこのような想いが込められているのではないかと思いました。
私が取り扱っている印鑑は、その人自身を証明する重要な証です。
ひとりにひとつしかない大切な「名前」を刻む印鑑一本一本に想いを込めて彫刻していかねば、と改めて痛感する映画でした。